ほめて育てる

 ほめると育つ?

「ほめる」って難しい 

 朝から「早く起きなさい、遅刻するよ」
「忘れ物ない?」

朝練があると、5時半起だという生徒もいます。
「土曜に練習試合で少し遠い学校まで行くから」と金曜日の授業を早退する生徒もいます。

 忙しすぎると大人も余裕がなくなります。子どもも同じでしょう。塾で宿題を出しても「部活で疲れてできなかった」「時間がない、勉強は学校でやってるから、家ではやりたくない」

 そうでしょうね。朝食も取らずに大急ぎで朝練に出て、昼までお腹をすかしたままま授業を受けると頭も働かないはずです。

 ちょっと脱線しました。元に戻します。子どもをほめる場面を考えてみます。塾では、毎回小テストを行っています。80%合格ですから、少し家で練習してきていれば合格できます。
 
 合格したら、「よく頑張りました」「よくできました」などと声かけをしています。満点だった場合は少し大げさに褒めたりもします。

中学生は定期テストがあります。5教科400点以上で図書カードを渡します。授業中に「よく頑張りました」と言って渡すようにしています。また、前回より成績が良かった生徒も「上がったね、よく頑張りました、偉い」などと褒めてます。

 点数が伸びなかった生徒にも、「今回は前より数学は勉強してたのに、残念だったね。どんな間違いをしてたの?」と聞いています。生徒なりに反省してるでしょうし、点数が悪かったと言って責めてはいけませんよね。こちらの指導にも反省すべき点はなかったのか、いつも考えることにしています。

 ほめられると大人も嬉しい
 
 自分の経験からも、大人だってほめられると嬉しいです。

 20年以上前、一時期書道を10年ほど習っていました。先生は東京の小学校の教師をされてたベテランの方でした。お手本をみて練習して、清書したものを先生に提出します。
 
 その時、先生は目の前で朱を入れ、筆運びや文字の止め払いを直してくれます。

 直しが入る前にはいくつか○が付きます。「ここの筆運びはいいですね、ここもこれで大丈夫です」とほめ、次にいくつかの注意点が指摘されます。ほめられてから改善点を指摘されるので、毎回書道が楽しみになりました。

 ほめてからの改善点の指摘がいいのです。

 わかってはいますが、つい叱ってしまいます。
「宿題は一度もやってこないし、小テストの練習もしてこないじゃないか、どうしてなんだ」と責め立てます。

 ほめてあげたくてもどこをどうほめてあげればいいのでしょう。

塾に来てるだけでも偉いとは思います。

ほめるところを見つけてほめましょう。

 感情的に怒らずに、結果より過程を評価してあげることが子どもを伸ばすのだという教育評論家や脳生理学者の本を読んだことがあります。

また、私自身の経験です。すいません。

 私は昭和27年生まれですから、第一次ベビーブームの少し後の世代です。四当五落(睡眠時間が四時間なら合格、五時間では不合格ということ)の競争世代が抜けたあとで、高校入試が9教科から5教科になった世代になります。ですから、先生方ものんびりしてました。学年順位が廊下に貼り出されるのが唯一の名残でした。

 そのような中で、勉強のことでやかましく言われた記憶はありません。結構ほめられて育ったのかもしれません。親にも「勉強しなさい」と言われたことはなく、直接成績をほめられたことはなかったのですが、近所の人には自慢してたと大人になって近所の方から聞きました。
 
 親の気持ちがこちらに伝わっていたのだと思います。言われなくても好きな教科は予習してましたし、テスト勉強も普通にしていました。

テストは確かに結果が大事ですが、経過を冷静に判断し、良かった点をほめてあげて下さい。