反グローバリズム

昨年(平成二十八年)は記憶に残る一年でした。反グローバリズムという分析が妥当かどうかは定かではありませんが、イギリスのEU離脱に始まり、アメリカのトランプ大統領誕生と予想外の出来事が次々おこりました。
EUは加盟国間で人、物、サービス、資本が自由に移動できる共同市場です。域内を旅行すると国境がいったいどこなのか不思議な経験をします。「人の移動の自由」を可能にしたシェンゲン協定により国境での検査がないのです。また、単一通貨はユーロも魅力です。ドイツでもイタリアでも通貨が同じですから両替の心配をしないで済みます。イギリスはユーロを導入していませんでしたが、EU加盟国でしたから貿易や人の移動は自由にできました。
この数年、域内の国々の経済格差と「難民問題」が、加盟国内で離脱を掲げる政党支持者を増やす一因となっていました。イギリスで行われた国民投票は離脱派の虚偽主張を国民が見抜けなかったために離脱が選択されてしまったとの報道もありました。
アメリカは旧工業地帯の失業問題がトランプ支持者を増やしたとされています。信じられないような言動を平気で行う人物を選んだ自由の国アメリカと市民の自由と平等と民主主義をいち早く獲得した イギリスで起こった離脱騒ぎ、この二つは今後の世界を占う大きな動きである気がします。
少なくとも、世界はグローバル化が加速し、便利になり、より暮らしやすくなるものと思っていました。実際に起こる出来事は、想像とは反対のものばかりであり、不安を感じます。今年はいったいどうなるのでしょう。