集中力

大リーグで活躍しているイチロー選手は知っていても、ベーブルースとなると認知度は低いかもしれません。長い間ホームランの大リーグ記録を持っていた大リーガーです。彼は、試合前に回っているレコードのラベルが止まって見えるようになるまで、じっと見続けて集中力を養ったという話を聞いたことがあります。スポーツの一流選手にとって技術面や体力以上に精神的な面における集中力が重要視されるようです。
集中力というと「何かに夢中になっている」姿を連想します。例えば、夢中でマンガを読んでいるときなど、お母さんの「ご飯よ。」の声や兄弟の「@§☆◎◇◆∂∽」と呼びかける声も、何か聞こえてはいても内容が理解できなかった経験は誰でもあると思います。ゲームなど、親に注意されるまで時間のたつのを忘れて夢中になっていた経験も同様でしょう。また、勉強に関しても、集中していると時間が短く感じられたり、問題がどんどん解けたりするということも経験しているはずです。つまり、集中力が好奇心を生み出し、「もっとやってみよう」という意欲までを生じさせているのです。これとは反対に集中力が働かない場合、やらなければいけないとわかっていても意欲も生じませんし、好奇心も生まれません。運動など場合、集中力が低下しているときにけがをするとさえいわれています。
それでは、その集中力はどのように生じるのでしょうか。ひとつには、心理的欠乏感や欲求、よくいわれる「ハングリー精神」というものらしいのですが、今の世の中ではとうてい動機づけにはならないように思います。「○○をどうしてもやらなければ。」とか、「必ず○○をやるぞ。」という強い欲求を持っていない場合、つまり、やる気がないという状態をどのように改善できるのでしょうか。ある心理学者の本によれば、やる気のない人をその気にさせるには、賞罰を与えたり、競争させたり、成功感を経験させる外発的動機づけより、本人自身がやる気になる内発的動機づけが一番だとのことです。「好きこそものの上手なれ」で、まず好きなことを飽きずにやれるかどうかです。何かに夢中になれる人なら勉強の面でも必ず集中力を発揮でき、成果を上げることができるはずなのです。そのとき、大切なことは成果を上げられなかったときや失敗したときの励ましや援助だということです。やる気があっても失敗をしたときの不安を抱えていると目標を低くしがちになり、すぐ言い訳をしたり、失敗の原因を自分以外のもののせいにしたりするようです。心あたりがありませんか?